「2020年の不動産市場はどうなるか」と問われれば、その答えは一言でいえば「下落」です。ただしもちろん物件によってその温度差は異なり「落ちにくいもの」「ダラダラ下がるもの」「価値セロに向かうもの」の3極に分かれることになるはずです。

日本における不動産価格の最高地点といえば「銀座4丁目の交差点」ですが、地価の伸び率は2105年をピークに鈍化。このままいくと2020年は伸び率ゼロか、場合によってはマイナスの可能性もあります。2012年の民主党から自民党への政権交代以降、株価と同様に上昇してきた不動産価格にも、明らかに天井感があります。

新築マンションも思うほど売れていません。首都圏の新築マンション発売戸数はここ数年減少傾向でしたが、2020年以降はさらに減少し続けていくものとみています。市場の好不調を占う「契約率」について、目安として70%の水準を保てない状況では、そう簡単に発売戸数を増やすことはできない上、昨今の通勤や買い物利便性をはじめとした「利便性にこだわる嗜好性」に応えるためには、立地を厳選する必要があるためです。

一方で新築マンションの発売戸数が限定的となれば、その分、中古マンション市場に流れる向きが増えるため、中古マンション市場は比較的堅調でしょう。もちろん、立地が厳選されるのは言うまでもありません。

また今年は大風15号や19号が猛威を振るい「ハザードマップ」を確認する重要性が認識されましたが、気候変動待ったなしの状況の中において2020年は、さらなる風水害の可能性を念頭に置いておいたほうがいいでしょう。今のところ不動産売買や賃貸の場面では、ハザードマップについて説明することは義務化されておらずその対応はまちまちですが、そう遠くないうちに義務化は必至。そうなると金融機関の担保評価に組み込まれる可能性もあります。火災保険料率に差がつくのも自明です。もちろん南海トラフ地震や首都圏直下型地震などの可能性も忘れてはいけません。

何と言っても2020年の国内外の政治・経済情勢は、これでもかというくらい火種の宝庫です。世界的には「米中貿易戦争」「ブレグジット」「ドイツ銀行破たん懸念」。国内では森友・かけ問題でも揺らがなかった現政権が「桜を見る会」騒動で支持率を大きく減らしています。金融・経済は長期政権であるからこそ安定します。年明けも野党の追及が続き、解散・総選挙といった流れになり、与党が今のままではいられないとなると、日銀政策の持続可能性が危ぶまれ、そうなると国債金利や株価の水準について持続可能性が危ぶまれる事態となるかもしれません。こうした展開になると不動産市場には大きくマイナスです。

いずれにしても、これまでを振り返ればリーマンショックやITバブル、90年バブル崩壊と、およそ10年ごとに金融システム危機は訪れており、タイミング的にそろそろといっていいかもしれません。しかし今回は、世界の債務は2.7京円と過去最高で、デリバティブ商品はその数倍ありそうです。さらに政治的な混沌を抱えているとなると、これまでとはケタのちがう大きな変革が待ち受けているものとみています。それが大ショックとして訪れるのか、緩やかに変わるのかという程度問題です。

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長嶋 修の「不動産経済の展開を読む」

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