米トランプ大統領が来日した際に、日本との貿易交渉について「参院選が終わるまで妥結を迫らずに待つ」と電話で米メディアの記者に語った上、ツイッター上で同氏は「(貿易交渉の)多くのことは日本の参院選が終わるまで待つことになる。そこでは大きな数を期待している!」「日本との貿易交渉で非常に大きな進展があった。とりわけ農業と牛肉で。7月の選挙が終われば大きな数字が出てくるのを待ってる!」(筆者訳)と投稿しています。

これを見た農業関係者はどう思っているでしょうか。4月に首相は全国農業協同組合中央会(JA全中)の中家徹会長と食事をともにしながら約2時間会談し、日米貿易交渉について「農産品の関税引き下げは環太平洋経済連携協定(TPP)で認めた水準を限度とする」と伝えているようです。

4月の段階で首相は、日米貿易交渉を甘く見積もっていた可能性があります。トランプ氏は就任早々TPPを反故にしているうえ、貿易赤字を解消したいと何度もアナウンスしています。米中貿易戦争を見れば明らかなように、具体的に貿易収支が均衡するまで、トランプ氏は追及の手を緩めないでしょう。まずは農畜産品の輸入を迫り、次に自動車輸出の制限、足りなければ為替にまで話が及ぶはずです。つまりは「円高」への圧力です。

政治の行方が不透明となり、かつ円高で株安となれば当然、不動産市場は大きな下落圧力に見舞われます。グラフをご覧ください。東京都心3区(中央・千代田・港区)の中古マンション成約平米単価と日経平均株価が見事に連動しているのがわかるでしょう。

3ku.jpg

2012年12月の民主党から自民党への政権交代以降、日経平均は見事に息を吹き返しましたが、同様に都心中古マンション価格も同様の軌道を描き、その単価は12年時点からおよそ1.7倍。5000万円だったマンションが8500万円となっています。ただこのところ株価が弱含んでいるのに対し、都心中古マンション価格は高止まりやや高めの水準にあり、株価がこのままならマンション価格は10%程度下げる局面といえます。

なぜこれほどまでに株価と都心中古マンション価格がリニアに連動するのか。理由は大きく3つ考えられます。まず、高価格帯である都心マンションを買える層は株式投資をしている割合が高く、その売却益を不動産に向けるといった行動様式があること。次に、彼らに贈与を行う親も株式投資を行う比率が高いであろうこと。最後にやはり「景気は気から」というようなもの。

ちなみに新築マンション価格は、売主であるマンションデベロッパーが、供給戸数や販売価格をコントロールするうえ、水面下では値引きを行っているケースもあり、その好評数値は多分に恣意的で、中古マンション同様の連動性は見られません。また神奈川・埼玉・千葉県の中古マンション成約価格上昇率1.2倍程度と限定的です。

貿易交渉の結果株価に影響が及んだ場合、仮に株価1万8000円程度なら都心マンションは今より20%、1万5000円なら25%程度下落してもおかしくはないでしょう。