「中古住宅は建物のコンディションがよくわからないから、やっぱり新築がいい」という方は年々減少していますが、日本ではいまだ新築に根強い人気があります。それでは新築は問題ないのかといえば、そうでもないのです。

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レーザーをあてると、1000分の3を超える傾きが確認された

こちらはとある建設会社の新築住宅。洗面所の壁に水平器をあてたところ、洗面室の壁が明らかに傾いているのがわかります。工事はあくまで人間の手によるものですから、一定の施工誤差は認められていますが、その範囲は、品確法「住宅紛争処理の参考となるべき技術基準」(平成12年建設省告示第1653号)によれば1000分の3。このケースでは明らかにそれを超えています。これを是正するにはいったん壁を壊して造りなおす必要があるでしょう。

このケースでは、引渡し前にわかったからまだよかったのですが、引っ越しが終わってからの工事では生活に支障が出たはず。工事は平日昼間に行われるのが一般的なので仕事に支障が出ることもあるでしょう。ちなみに1000分の3の施工誤差というのは、10メートルの距離で3センチですから、床にこの程度の傾斜があった場合、ビー玉はスムーズに転がります。書籍などではしばしば「建物のチェックにはビー玉を持っていけ」といったアドバイスが見受けられますが、あまり意味はないでしょう。

中古住宅の場合は経年による建物の変形も考慮され、先の基準による誤差は10分の6まで。このレベルだとゴルフボールも転がります。

傾斜の判断基準(新築の場合)
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出所:品確法「住宅紛争処理の参考となるべき技術基準」

これはあくまでも一例にすぎませんが、新築住宅といってもあくまでも手作りですから、工事のミスや不手際、忘れなどのヒューマンエラーは往々にしてあるのです。新築でも中古でも、建物のコンディションを事前によく調べる必要があるのは、変わりがありません。壁や床について一定の傾きが認められる場合、それが施工誤差であるのか、構造上何らかの問題があるのか、判断に迷う場合はホームインスペクター(住宅診断士)専門家に相談するとよいでしょう。

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ホームインスペクター(住宅診断士)は第三者性重視で選ぶ

ホームインスペクターを選ぶ際は、第三者性・客観性を重要視したいところ。インスペクションを専業で行っている事業者は少なく、大抵の場合は設計事務所や施工会社などとの兼業です。本業において施工会社とビジネスのつながりがある場合、判断にバイアスがかかる可能性があります。ホームインスペクターと施工業者、あるいは不動産仲介会社との癒着がないことが大事で、裏で不動産業者にバックマージンを渡しているインスペクターもいるので注意を。

住宅売買時にホームインスペクションを行うのが常識化している米国ではかつて、ホームインスペクターと不動産会社などとの癒着が社会問題化し、不動産会社等からホームインスペクターを紹介することを禁じている州が多いのです。2013年に公表された「インスペクションガイドライン」(国交省)ではことのほかインスペクションの第三者性が重要だと強調されていますが、まだ浸透していません。