新型コロナで経済は停滞し、各種経済指標も大幅悪化。不動産市場においては取引がストップするなど暗雲が立ち込めましたが、結論を言うと住宅市場は、すっかりコロナ前に戻っています。

もちろんホテルや民泊・会議室・レストランなどは目を覆うような壊滅的な打撃。今後の見通しも立っていません。一方で住宅市場は、新築マンションについては取引数85%減、中古市場については半減といった状況を迎えましたが、価格は下落していないのです。これは2008年のリーマンショック時のような投げ売りが起きていないため。現在はリーマン時のように金融システムが破綻したわけではなく、積極的な財政出動や無制限金融緩和、金融機関による無利子融資などによって、手元資金が潤沢であるためです。

またコロナ期間中は、売主・買主ともにただただ「様子見」の状態にあり、緊急事態宣言解除後はすっかり元に戻り、客足は活発で成約も順調。この結果がデータとして現れるのは数カ月後という事になりそうですが、結局、2万3000~4000円水準だった日経平均株価が一時1万6000円台だったところ,現在は2万2000円水準と、すっかり元に戻ってしまったことが大きいと言えるでしょう。

一時は多くの人が恐怖や不安におびえ、またメディアでは「財政破綻する」「ハイパーインフレの足音」といった恐怖新聞のような論調が垂れ流されていたのですが、今やすっかりそんな話も影を潜めました。

「コロナ後の住宅選びは海外や地方・郊外が人気になる」「駅から遠くてもOK」といった論調も、ただの連想ゲームに過ぎなかったことが明らかになっています。結果はむしろ逆で、これまでの通勤時間がいかに無駄だったかがわかってしまい、より駅近・都心・会社近くを選択する傾向が強まっています。つまり、私が平時から申し上げている、不動産市場の3極化がより進行する結果となっているのです。

むろん今後、コロナの第2波や第3波、新種や変種が出てくるとか、水害や地震などの天災地変、世界情勢における地政学リスク的な状況が勃発すればこの限りではありません。金融市場においては、良いか悪いかは別として日米の無制限緩和などに支えられて、今すぐシステムダウンする状況にはないと言えます。変化の兆しは金利上昇に現れるはずですが、現在のところそうした予兆も見られません。

むろん住宅市場は、とりわけ都心部都市部においては、2012年の民主党から自民党への政権交代以降一本調子で上げ続けていたところ陰りが見られていたタイミングでしたので、ここから再び上昇するとかそういったわけでもないと思います。

ただし、これだけ市場にマネーがあふれると、それはどこかに向かうはず。企業の資金繰りは一通り整い、手元資金をどこに動かすかという話です。低金利で債権に魅力がない中、ビットコインなどの仮想通貨は高く、金(ゴールド)は過去最高値を更新、株価はコロナ前に戻りといった中で、いわば「マネーの意志」はどこに向かうのか。90年バブルと酷似しているのが現在の状況です。したがって「資産バブル」とでもいう状況が現れてもおかしくないでしょう。

資産バブルとは簡単に言えば、実体経済を無視する形で株や不動産などの資産が一方的に上昇することです。そうならない場合は、じわじわデフレが続く、ないしはインフレにも景気回復にもならず、不動産をはじめ各資産価格も頭打ち、といった状況が続くでしょう。