よくいわれる「住宅の寿命は30年」というのは間違いです。その根拠は「新築数を除却数で除したもの」だったり「取り壊した建物の平均築年数」だったりします。ということは、40年経っても50年経ってもまだ立派に使える住宅がたくさんあるわけです。

さくら事務所のホームインスペクション(住宅診断)の経験でもそれを実感します。そのわりには25年程度でその価値はほぼゼロになっているというギャップ。こうしたゆがみは先進国の中で日本にだけ存在します。もちろん国はこのゆがみを是正しようと昨今、中古住宅市場の整備に乗り出しているわけです。整備後の中古住宅市場では「ダメな中古はやはり価値ゼロ」「良質な中古住宅は築何年でも価値を持ち続ける」といった二極化が起きるでしょう。

住宅の寿命については多くの研究があります。早稲田大学の小松教授らが行った「建物の平均寿命推計」の調査(2011年)によれば、人間の平均寿命を推計するのと同様の手法を建物に採用した場合、木造住宅の平均寿命は64年であるとしています。

マンション(RC / 鉄筋コンクリート造)の寿命には諸説あり。例えば、117年(飯塚裕/1979「建築の維持管理」鹿島出版会)、68年(小松幸夫/2013「建物の平均寿命実態調査」)、120~150年(大蔵省主税局/1951「固定資産の耐用年数の算定方式」)など。実際には配管の種類や箇所にも大きく左右されますが、思いのほか長持ちするイメージではないでしょうか。

神奈川県に建つ築19年の木造一戸建て。本物件はメンテナンスが必要な時期を迎えているといえます。建物は、メンテナンスによって寿命が大きく変わります。

外装塗装に大きな亀裂が確認されました。【写真1】地震が原因であると思われます。
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【写真2】は南側の屋根。雨樋に落ち葉が溜まっていました。これは取り除いておかないと雨漏りの原因になります。落ち葉対策ネットなどを雨樋の上に取り付けることで、詰まりを予防できます。
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室内では和室の木製建具上の壁にひび割れが。【写真3】鴨居のたわみによるものと思われます。
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アルミサッシに近い木製枠には、水シミが見られます。【写真4】しかしこれは雨漏りではなく、結露によるものでしょう。
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屋根裏では、金物が取り付けられていない箇所が。【写真5】
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さて、これだけ不具合の見つかる建物は、一般的には売りづらい、買いにくいものです。しかし、どの事象も建物に決定的なダメージはなく、対処が十分に可能なこと、その対処について具体的な説明が聞けたことで買主のEさんはこの物件を契約。価格から一定の修繕費を値引いてもらったようです。

中古住宅選びで成功する為に絶対必要な5つの知識