前回のコラム「マイホーム、買うか買わないか⑦」の続きです。

これから市場は「価値ある住宅」「価値ゼロ住宅」とに大きく二極化。さて「価値ある住宅」となるための3つ目の条件は?

その3 省エネ性能が高いこと

現在に日本には、住宅の省エネ性能に関し義務化された基準はありません。これは先進国では非常に稀なことですが、だからこそ断熱材がまったくない、コンクリート打ちっぱなしの住宅を建てることも可能だったりします。

義務ではなく、任意基準としての「次世代省エネルギー基準」というものがあります。次世代ときくと、いかにも時代を先取りした、先進的な基準のように聞こえますが、実は1999年に制定された、今となっては時代遅れの古い基準です。先進国の多くはこの次世代省エネ基準よりはるかに高い基準を義務化しており、コンクリート打ちっぱなし住宅など決して建てられません。

しかしここに来て日本にも変化の兆しが。というのも2020年にはすべての新築住宅について省エネ基準が義務付けられることになっています。そのレベルはまだ決まっていませんが、世界的な人口の爆発的な増加でエネルギーコストの一層の高騰が見込まれる中、世界のトレンドは「省エネ」。この流れに日本もいよいよ追随していくわけです。

そうすると、省エネ性の高い住宅は、購入時の住宅ローン金利や各種税制で優遇されることとなり、資産性も保たれやすくなります。もちろん光熱費は抑制できるため生活をする上でのランニングコストは低く済み、さらに結露など不具合も起こしにくいので、建物にダメージを与えず、寿命も延びることになります。

ドイツでは、持ち家・賃貸ともに、真冬時に室温が18度以下になってしまう住宅を貸すことはできません。理由は「基本的人権を損なうから」。つまり「憲法違反」というわけです。ドイツ国土交通省のハンス=ディーター・ヘグナー氏によれば、室温を19度以上に保てない家を貸して賃貸人に裁判を起こされたら買い主は負けるだろうとおっしゃいます。夫婦間の争いではご主人が奥さんに訴えられてしまうだろうと、笑いながら答えてくれました。

フランス・ドイツなどEUのいくつかの国では、中古住宅を売り出すときには、その住宅が1年に消費するエネルギー量を表示しないと、売ることすらできない。中古住宅にかかる税金や住宅ローン金利・期間は、省エネ性能が高い住宅ほど優遇されているので、自ずと資産価格にも差がつくようになっているのです。 日本も早晩、こうした世界的な省エネルギーの流れに乗ることになるでしょう。中古マンションにはそもそも新築時から断熱工事が行われなかったもの、発泡性のフォームがなくなってしまったものなどがあります。熱さも冷たさも吸収しやすい性質を持っているコンクリートが、外気にむき出しになっているのと断熱材で囲まれているのとでは、結露などの問題はもちろん、快適性や光熱費、ひいては家族の健康にも大きな差が出てくることでしょう。

続く。