さてこれまで見てきたように、中古住宅市場では、これまで25年程度で価値ゼロとしてきた慣行を根本的に改め、建物の評価を適正に行うべく、市場整備が着々と進んでいるところです。したがっていずれ、価値のある建物とそうでない建物との選別が起こります。未来の住宅市場で高く評価される、価値のある住宅の条件とはどのようなものでしょうか。これから何回かにわけて簡潔にご説明します。

●その1 書類が整備されていること

とりもなおさず「建物関連の書類が整備されていること」が大前提です。これがなければ適正な評価の土台にすらのりません。特に設計図書(竣工図書)はマストです。ここでいう竣工図書とは、間取り図(平面図)のみならず、立面図や断面図、矩形(かなばかり)図をはじめとする、工事の際に施工者が参照する詳細書類全般のことで、中古住宅を評価する際の大元となる書類です。

「一般社団法人住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会」が設立され、住宅履歴情報サービスの基本指針の策定、共通の業務ツールの整備等が着々と行われているところです。データの通称を「いえかるて」としています。

一般社団法人住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会
http://www.iekarute.or.jp/

ところが実際には、新築した時の竣工図書を保有しているケースは意外と少ないもの。おおよそ半数程度の売り主が竣工図書を保管していないのが実態です。その理由は「どこかに失くしてしまった」「そもそも施工者から譲り受けていない」など。 竣工図書を保管していても、実際の建物と異なっているケースも。これは新築途中で変更工事を行った場合などにありえることです。特に配管や配線などは、工事途中に変更されることも多いのですが、本来は、こうした変更箇所について図面の差し替えを行うべきところ、業者がそれを怠っている場合です。

すでに住宅を所有している方はまず、この竣工図書を探してみてください。見つからなければ施工者に問い合わせてみましょう。一方でこれから中古住宅を買う方は竣工図書の有無を必ず確認したいところです。見つからない場合には、売主さん経由で竣工図書の請求を、当時建てた際の業者さんにしてもらいましょう。有償で建築士などの専門家に図面を起こしてもらうこともできますが。建物を壊して調べることができない以上、詳細図の作製には限界があることは知っておいてください。

ところでこの竣工図書は、リフォームやリノベーションを行う際にも必須です。例えば間取りの変更を行うとき、これがあれば耐震性に重要な壁がどこにあるか一目瞭然。またキッチンや給湯器が故障したとき、部品交換などのための情報が簡単に入手できます。

修繕やリフォームを行ったらその図面や契約書類、ホームインスペクション(住宅診断)を行ったらその報告書なども必ず保管しておきましょう。2018年から運用が開始される見込みの新住宅情報データベースにはもちろんこうした情報もひもづけられ、評価のネタになります。

続く。