国内不動産市場は、2012年の民主党から自民党への政権交代以降、一貫して続けてきた上昇局面から変化の兆しがみられます。今後、不動産市場はどのようになるでしょうか。

昨今の不動産市場において顕著なのが「格差」。19年地価公示における東京の最高価格地点(山野楽器前)の地価は平米5720万円と、90年バブル期の3850万円を大幅に上回り過去最高を記録しています。「畳一枚=1億円」といったところです。一方大阪の最高価格は1980万円とバブル期の3500万円に遠く及びません。名古屋もバブル期は3500万円のところ今年は1620万円にとどまります。90年バブル期と違って、いかにマネーが東京一極集中化しているかがわかるでしょう。

住宅市場にも大きな格差があります。日本の不動産市場は東京都心部の中古マンションが最初に動き、東京都心3区(中央・千代田・港区)・5区(前記に加え新宿・渋谷区)あたりの中古マンション価格は日経平均株価と見事に連動しています。新築マンション価格はマンションデベロッパーがコントロールできる一方で中古マンションの売主はほとんどが個人であるため、景気動向や株価に反応しやすいのです。

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東京都全体・神奈川・埼玉・千葉となるとその連動性はかなり薄れます。都心3区の中古マンション成約単価は政権交代以降1.6~1.7倍程度に上昇したのに対し、神奈川・埼玉・千葉は1.2~1.3倍程度に過ぎません。

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こうした格差は「駅距離」にも。都心7区(中央・港区・千代田・新宿・渋谷・目黒・品川区)の中古マンション成約単価は昨年、駅から1分離れるごとに平米あたり1万8000円でしたが、5年前は8000円に過ぎません。65平米3LDKのマンションに例えれば、駅から1分離れるごとに価格が100万円ずつ下がる計算です。

このような現象が起きている理由のひとつは「自動車保有比率の低下」。次に「共働き世帯の増加」です。例えば駅徒歩15分の100平米より、徒歩3分の60平米を選ぶというように、「空間の広さ」や「居住快適性」より駅距離を含む「利便性」を求めるのです。昨今では都心駅近に専有面積9平米程度の賃貸住宅が人気を博し、また厚木や津田沼といった都市郊外において駅近のタワーマンションが高額で取引されるの単身層・ファミリー層のニーズに加え、周辺の駅から遠い一戸建てに住むシニア層のニーズも旺盛です。

70~80年代の高度経済成長期に駅から遠い一戸建てを求めたものの、今となっては4LDKなどの広い間取りに1~2人で家をもてあまし、庭の管理や自動車運転がおっくうになるほか、どこに出かけるにも便利であること、子や孫が遊びに来やすいといった理由で、利便性の高い駅前・駅近のマンションが、比較的高額でも売れていくわけです。

このように、不動産市場には既にものすごい格差が生じており、その格差は今後広がるばかりであることを念頭に、不動産とのより良い関係を築いていただければ幸いです。