「国土の長期展望」(国土交通省)によれば、日本の総人口は2004年にピーク、今後100年間で100年前(明治時代後半)の水準に戻っていく可能性があり、この変化は歴史的に類を見ない、極めて急激な減少であると指摘しています。

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             資料:国土の長期展望(国土交通省)より

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             資料:国土の長期展望(国土交通省)より

総人口は、2050年には約25%の3300万人減少し9515万人へ。首都圏人口、あるいはカナダ全土の人口がごそっとなくなるわけです。さらに、高齢化率は20%から40%へ。生産年齢人口も、8442万人(66.1%)から4930万人(51.8%)と3512万人も減少します。

人口や世帯数が減少する局面では、人の動きは偏在化し、特定の場所に集まることが知られていますが、その偏在もイメージより極端なものになりそうです。人口が増加するのは全国土の2%以下に過ぎず、東京名古屋などの三大都市圏に集中する一方、全国の6割以上のエリアで人口が半分以下に。現在の人口規模が小さいほど人口減少率は高く、10万人以下の市区町村では平均を上回る減少率、とりわけ6000~1万人以下の市町村の人口が半分になると予想されています。人口減少する自治体の財政は厳しいものです。税収は減るうえ、上下水道などインフラの修繕や更新、ごみ収集などの行政サービスの効率は極端に悪化します。

こうした事態を踏まえ、国は「コンパクトシティ」の概念を打ち出し「集まって住む」を政策的にも推し進めようとしています。要は「お金のかからない、小さな街づくり」ということです。コンパクトシティの取り組みは富山県富山市などが有名ですが、都市部でもこうした動きが始まります。人が集まる一部の地域は地価が落ちない、上昇地点もみられます。かたや大半のそうでない地域は、地価が落ち続けることになるでしょう。

さらに最近ではその視点を一歩すすめて「エココンパクトシティ」としています。これは、自動車を中心とした、いわばだだっ広い都市計画、ともすると無秩序ともいえた都市計画を続けてきた日本の都市政策ですが、各自治体が財政難に喘ぐなか、行政サービスや上下インフラ整備などの非効率さを改め、さらに高齢化に対応出来る、歩いて、ないしは自転車で生活できる街づくりをしよう、ということなのです。基本的には駅周辺、ないしは鉄道沿線ということに。自動車中心の社会から鉄道中心の社会への転換の一端です。

本格的な人口減少、世帯数減少はこれから始まりますが、こうした局面では大きく2つの人の流れが起きることが、世界的な研究で知られています。一つは「都心・都市部への集中」。もう一つは「偏在化」。例えば隣駅にある、広さや築年数、駅からの距離がほぼ同条件の物件なら、現在は価格もほぼ同じだが、将来には双方に大きな格差が生じます。

すべては各自治体の取り組みいかんですが、このような動きは都市計画図にはまだ織り込まれていません。立地について調査する場合には、市区町村役場の都市計画課などに直接赴いて、都市計画図には織り込まれていない将来的な都市構想や計画がないか確認してみましょう。議会の議事録を確認したり、地域住民にヒアリングしたり、地元の有力者を探しあてて訪ねるのもいいでしょう。いくつかの地域について同様の調査を行うと、各地の温度差がよくわかり面白いものです。

これから選ぶ地域が、コンパクトシティ的な方針の枠の中にあるのかそうでないのか、といったことは、住んでいての快適性のみならず、将来的な資産性にも大きく影響します。新時代に向けて本格的な方針転換を実践している地域。構想段階の地域。全く検討もされていない、問題意識の低い地域。はたしてどこにマイホームを買うのが賢いでしょうか。