「空き家を抱えているが、どう処分したらよいか」「実家が将来空き家になった場合、どうしたらよいか」
筆者のもとには空き家の処分について連日多数の相談が寄せられており、「空き家問題」は今や大きな社会的課題なのだなと、改めて認識させられます。

将来の人口動態が厳しいエリアにある空き家ほど、すぐにでも「売るべき」ということです。しかも「早急に」です。

理由は簡単で、「今が最も高く売れる可能性が高い」からです。売り時を待っていても、よほど立地の良いところでない限り、価値が上昇する見込みは限りなく少ないでしょう。さらに、こうしたエリアでは「貸す」の意味も限定的になりがちです。時間の経過とともに周囲には競合する空き家が増え、価値は下がる一方の状況で、一定の投資を行いながら賃貸に出し、収益を得ようとしてもどのくらいの見返りがあるのか。計算してみれば、大半のケースで「合理性なし」と判断できるでしょう。

●売却する

一番お勧めなのが売却。都心や都市部の一等立地以外、大半の地域は住宅価格の下落が予想されます。特に高度成長期に分譲されたベッドタウンなどは、住宅価格が年3パーセント以上、下落し続ける予測もあります。特段利用する予定がなければ、できるだけ早期に売却するのが良いでしょう。ほとんどのケースで売値は「今」が一番高いはずです。

まずは不動産仲介業者に査定を依頼します。査定だけなら基本は無料です。相場観をつかむためにも2、3社に依頼するのがよいでしょう。この中で、ことさら査定価格が高いものは省きます。これは、査定価格を上げることで売却の依頼を受けようとする意図が見えるからです。不動産市場には相場というものがあり、その相場価格より飛び抜けて高い価格で売れることは基本的にないと思ってください。残った業者のうち、「査定価格の根拠が明確に示されているか」「購入者のターゲット、販売の戦略は示されているか」などを参考に売却依頼先を決定します。

売却依頼の契約にはおおまかに言って、1社だけに依頼する「専任媒介」と、複数社に依頼する「一般媒介」があります。原則としては専任媒介がよいでしょう。売り主からの仲介手数料を事実上約束してもらえることで、不動産仲介業者も積極的に動きやすくなります。専任媒介であっても、他社も物件を紹介することができるので、購入者を見つけてくれることもあります。

「駅から近い」「建物が比較的新しい」「価格競争力がある」など、いわゆる売れ筋物件の場合にはあえて一般媒介として、健全な競争を促すといったやり方もいいでしょう。亡くなった方が住んでいた家屋を相続した方が、16年4月1日から19年12月31日までの間に、その家屋や取り壊し後の土地を譲渡した場合、譲渡益から3000万円を控除できる「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が創設されています。「81年5月31日以前に建築のもの」「耐震性がない場合は、耐震リフォームをしたもの」などいつくかの要件がありますので、財務省のホームページなどで確認してください。

もちろん、いろんな理由で空き家を処分できない事情があることはわかります。「荷物が残っている」「思い出が残っている」「相続でもめている」などなどです。しかし、そうした問題も含め早めに解決したほうが経済的には得策であり、のちのち苦労することがなくなります。

●貸す

駅近マンションや、戸建てで需給が逼迫している地域などで検討できる選択肢です。ただし、貸すとなると、多くのケースで一定の修繕・リフォームが必要になります。必要なリフォーム費用の見積もりを取り、コストの投資回収期間を計算してみましょう。

たとえば150万円のリフォーム投資をした場合、家賃8万円なら年間家賃収入96万円と、1年半程度で投資額を回収できる計算(賃貸管理料〈家賃の5%程度〉、マンションなら管理費や修繕積立金、固定資産税の支払いなどは含まず)になります。そのうえで、賃貸に回すことがはたして割に合うのかを冷静に見極めたいです。将来的には、空室率や経年による家賃の下落、修繕費用の負担も織り込む必要があります。またこうした空き家活用を行う際には、国や都道府県・自治体の補助金や助成金を必ず確認し、使えるものは使いましょう。

●空き家のまま管理

現在予定はないが、将来は自分や親族が住むかもしれない、といった場合の選択肢です。空き家の適切な管理には 建物や敷地内の見回り、ポスト周りの清掃、室内空気の入れ替えなどが定期的に必要です、自身でできない場合は「空き家管理サービス」を利用する方法もあります。月に1回の頻度で5000円から1万円程度が相場です。該当地域でこうしたサービスの提供事業者がいるか調べてみましょう。

あいおいニッセイ同和損害保険と三井住友海上火災保険(東京都千代田区)は、空き家管理事業者を対象に『空家賠償責任保険』の販売を始めています。空き家管理事業者の業務遂行上の事故により負担する賠償責任のほか、所有者が空き家を原因とした事故により負担する賠償責任も対象となります。

保険料は一戸建てで賠償金支払限度額を5億円に設定した場合年額8000円。共同住宅1戸年額2050円など。支払限度額や免責金額は複数の契約パターンで簡単に設定できます。

●そこに住む

自身や親族がそこに住むパターン。耐震診断や耐震改修、バリアフリーや省エネリフォームについて、多くの自治体が補助金や助成金を用意しているので確認するとよいでしょう。こうした助成金制度や減税制度などに詳しいリフォーム会社を選ぶと、なお安心です。複数社から見積もりを取り、その中身をよく見比べてみたいところです。その際のコツは「同条件で見積もりを取ること」「記載内容が大雑把でないこと」など。住宅リフォーム推進協議会の「標準契約書式」と同レベルのものが望ましいでしょう。

いずれにしても大事なのは、空き家をどうするか、早めに意思決定することです。時間が経過するほど周囲にライバルの空き家は増える一方。なんとなく意思決定を先延ばしにしたまま放置する、あるいは相続でもめて動けないというのが悪いパターン。自身や家族・親族にとっての最適解を見つけてください。