• 借りる方には馴染みのない単語。
    初期費用の明細にこの単語が載ることはあり得ない。
    でも、全く借主に関係ない訳ではない。
    では一体、この「広告料」の正体は何なのか?

    関東圏では一般に貸主が物件元である管理会社や仲介業者に家賃1ヶ月分以上の「広告料」を成約時に支払う慣習がある。
    業界内では俗に「AD」とも呼ばれている。
    そしてこのADは仲介手数料とは別枠となり、宅建業法の適用外との見解である。
    誰の見解か?
    貸主と業界の見解である。

    しかし、成約時に仲介業者が貰うものであれば、仲介手数料ではないのか。
    であれば、宅建業法の上限を超えた場合、違反とはならないのか。
    といった疑問もあろう。

    約16年前、大手賃貸仲介会社の「某Aブル」と「某MニMニ」が東京都に刺され、公開聴聞会に両社長が呼びつけられた。
    その刺された内容とは、借主から上限である0.5ヶ月分を超える1ヶ月分を受領していたにも関わらず、承諾を得ていなかったことによる、宅建業法違反である。(詳細は前回の記事参照)
    この2社は10日間の業務停止処分を受けている。
    見せしめだった。
    大手を刺したことで、「お前らも気を付けろよ」と暗に言っているのだ。
    そして、この段階で、この2社は間違いなく借主からの仲介手数料と、貸主からの広告料で、合計2ヶ月分以上の報酬を得ていたはずである。
    なのに、それについては突っ込まれはしたようだが、特にお咎めはなかったのか。

    なぜか?

    募集活動は不動産ポータルサイトや自社ホームページに載せるのが一般的である。
    紙媒体はすでに過去の遺物と化しているが、たまに業界新聞の広告欄にちんまりと掲載されているのを見掛ける。
    あとは、直接お客様に渡す募集図面の作成など。
    以上が広告に要する費用である。
    これらの作業は、仲介業務の一環として仲介手数料の範疇と解される。
    この場合、仲介手数料1ヶ月分以外にどんな名目であれ、別途報酬を得ることは、本来宅建業法違反になるはずである。

    しかし、「抜け道」があった!

    通常の広告によらない「特別な」広告に対する実費で、かつ貸主もそれを承諾していれば宅建業法に抵触しない。
    行政曰わく、入居者を決めるために貸主の意思で「特別な」広告に多額の金銭を支払うことにまで口出しは出来ない、とのこと。
    これが抜け道である。
    きっと業界の大半の人たちの見解とは一致していないと思われる。
    彼らは、単に仲介手数料以外の名目ならば問題なしと思っている。
    「特別な」がミソなのだ。

    では、「特別な」広告とは何か?

    例えば、売買のように新聞折込チラシを何万部も入れたり、部屋のデコレーションに高価なインテリアを買い入れたり、大々的にオープンルームなどのイベントをやったり等々、1ヶ月分の仲介手数料にはそぐわない程の費用を掛ける広告がそれに当たるだろう。
    しかし、実際に賃貸物件で、そこまでやってるのを見たことがない。
    いや、私が知らないだけかもしれないし、他にも「特別な」広告の方法があるのかもしれない。


    さて、これ以上この話を掘り下げて種を明かしてしまうと同業者から苦情が来そうだが、もう少し話を進めないと何が問題なのかが見えてこない。
    この「広告料」の話、意外と奥が深い。
    次回、勇気を持ってもう少しだけ掘り下げよう。
    まずは私の知り得る範囲でこの「特別な」広告の実態から記したい。

    それと、この記事の始めに「広告料は全く借主に関係ない訳ではない」と書いた。
    ここまで読んでも、借りる側にあまり影響してるとは思えないし、そもそも物件の宣伝にかかるお金など借主に関係があろうはずがない。
    どう考えても貸す側の話ではないか。
    しかし、そこに盲点がある。
    その驚愕の事実も次回明らかにしたい。

    佐藤 勝也のブログ

    うっかりして気付かず見落としてしまうことを、よく「盲点」と表現します。そして盲点は、よくよく考えれば実は他愛もないことが多いのですが、見つけ難く気付かないままの盲点もあります。そんな様々な盲点に光を当て、困ってるオーナー様の一助になれば幸いです。