TPPとは?

TPPについて正確な情報が無い中でこういう文章を書いて良いものか悩みましたが、どうにも書きたくて仕方なくなり、あくまで未来予想図として読んでいただくということで、中古住宅流通への影響を想像してみることにしました。

まず始めに、私がTPPをどう解釈しているかと言うと「日本のスタンダードが米国のスタンダードに近づき、それらがTPP加盟国のスタンダードになる」という感じです。良い面も悪い面もあるのでしょうが、ここで賛否を意見するつもりはありません。あくまで、そうなると日本の中古住宅流通にどう影響が出るのか?という話を記すことにします。

これまでは

これまで、日本の中古住宅流通の世界は外資の脅威にさらされたことはありません。REIT(不動産投資信託)などを除き、新築も中古もマイホーム売買の世界は日本オリジナルの仕組みでやってくることができました。他の業界をみても非常に稀な存在なのではないでしょうか。

特に中古住宅の世界は、一言でいえば「旧態依然」。整備が非常に遅れています。「人口が減り、家が余る。」なんて事は何年も前からわかっていたことですが、住宅着工は景気への波及効果が高いため、景気対策として国が新築重視の政策を続けてきたからです。しかしここに来ていよいよ限界が訪れたのか、国も重い腰を上げ始めたという感じです。

そんな状況下、中古住宅流通の世界をのんびりと少しずつ変えていこうという空気を、TPPが一変させることになるかもしれません。以下に示すこういう順で、変化が訪れると想像します。

 

STEP1:物件情報完全公開

「日本人は、米国の正確な不動産売り情報を入手できるのに、米国人が、日本の正確な不動産売り情報を入手できないのは不公平だ」

米国では、不動産の売り情報は完全公開されています。日本人も日本に居ながら米国のそれを入手することができます。そのため、日本と米国では不動産会社の「役割」が違います。日本では売り情報を多く集め、多大な広告費を使い、自分達で買主様をみつけることがメインの仕事です。一方米国では、売り情報は誰でも入手できるわけなので、不動産会社はお客様のパートナーとなり、情報の精査をし、様々な専門家とタッグを組んで購入・売却のアドバイザーとなることが仕事です。

インターネットの普及で、日本でもお客様ご自身で売り情報を入手することができるようになりましたが、正確な情報は不動産会社にあります。これは、日本の不動産会社にとっては死活問題なので、完全公開には多くの会社や業界団体が真っ向から反対するでしょう。

しかし、売主様はより多くの人から最も好条件で買ってくれる人を求めており、買主様はより多くの物件から自分達に合ったものをみつけたいわけなので、完全公開されることはメリット以外考えられません。高く早くではなく、安く遅くでもいいから「こっそり」売って欲しいという売主様だけがデメリットということでしょうが、これもやり方を工夫すれば「こっそり」に近づけることができると思っています。

完全公開への布石なのか?今年になってこんな団体ができました。
「日米不動産協力機構(JARECO)」
大学教授達が立ち上げたようですが、国土交通省と関係があるようです。真の目的は何なのか?気になるところです。
JARECOホームページ:http://jareco.org/

 

STEP2:公開情報の詳細化

「完全公開されたのは良いものの、たったこれしか情報公開がされないのでは購入の判断ができない。もっと詳細情報を公開するのだ」

日本では、公正取引委員会が不動産の広告に関するルールを決めています。個人情報との兼ね合いがあるので、入り口の時点ではこの位の情報量で良いのかもしれません。しかし、いざ真剣に購入を検討する段階に入った時、そこから様々な情報が提供されているかというと、担当する不動産会社次第であり、充分とは言えないでしょう。
米国では、その一歩踏み込んだ情報を不動産会社が入手することができるようになっており、その内容も日本とは比較にならないくらい充実しています。

これも公開情報詳細化の布石なのか?昨年末に国土交通省からこんな発表がありました。
「不動産データベースシステム“ストック(仮称)”2015年試験運用開始」
日本では契約当日に行われる重要事項説明の中で「初めて知った」という事が多くあると思いますが、これが普及すれば購入の決断前に正確な情報を入手することができるようになるでしょう。

 

STEP3:価格の透明化

「詳細情報が公開されたのは良いものの価格が不透明だ。もっと価格の根拠がわかるように査定の方法を明確に示すのだ」

米国では、アプレイザーと言われる専門家が不動産の適正価格を評価します。
日本では、不動産会社の担当者が、主に不動産流通近代化センターが作成したソフトを使って査定します。その「建物」査定の中身をみると、多くの方はビックリすると思います。
「たったこれだけの情報から価格を導いているのか…」と。
そのため、不動産会社担当者の「勘」や、他社と競合しているから高めに出しておこうとする「悪」が、査定価格を決める要因になってしまっています。

そんなことを国はとっくにわかっており、随分前から査定方法の見直しは議論されています。しかし「細かい査定の仕組みを作っても、現場で働くプレイヤーに建物を見る目がない人が多いから、実際の運用が難しい」なんて声が聞こえてきます。そんなの今の仕組みを変えたくない人達の言い訳に過ぎないと思っています。

前述の“ストック(仮称)”では、「取引価格は個人情報ではない」という解釈の元、過去の成約情報の公開がされるようです。

まとめ

ここまで読んでいただき有難うございます。そしてこんな声が聞こえてきそうです。
「この文章のタイトル間違ってるでしょ。」正しくは、
「TPPよ。頼むから早く日本の中古住宅流通を変えてくれ。」ではないかと。

おっしゃる通りです。スミマセン、これは私が切望している変化なのです。
きっかけはTPPでなくても良いのです。のんびりとした変化に苛立ちを感じる私の願いだったのです。前述の「布石」は、いちおう準備は始めましたよということです。

これらの変化は日本人にとってメリットばかりです。ほとんどすべての人がこの変化に「agree」「welcome」と言うでしょう。困るのは不動産業者くらいです。この変化に耐えられず、フェードアウトする会社が出てくるからです。

「日本の人と不動産の関係を、よりしあわせなものにすること。」
「孫の代まで受け継がれる、普遍的な中古住宅売買の仕組みを作ること。」

これらは弊社の理念です。一日も早くこの変化が訪れることを願い、そのためにできる事を考えている今日この頃です。皆様、ご協力をお願い致します。

平成25年6月15日 山田 篤

「理想的な中古住宅購入の動き方」はこちらから。