職人の肌感覚

毎年恒例の年末コラムです。

【過去の年末コラム】
2009年「不動産営業のあるべき姿」
2010年「私の役割」

今年のタイトルは「職人の肌感覚」です。
毎度、暑苦しい文章ですが、どうかお付き合いください。

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私は住宅評論家ではありませんし、そうなるつもりも全くありません。
あくまで現場の最前線で働く、いわば“職人”であり、“超一流の職人”を追求することに残りの人生を懸けることに決めています。
職人には職人にしかわからない「肌感覚」があります。これは、論理的には説明できないが間違っていないというたぐいの物です。今年はこの「肌感覚」をテーマにコラムを書いてみようと思います。未来の自分にメッセージを贈るつもりで。

2011年を振り返ると、震災と原発事故を抜きには語れません。それ以降「安心・安全」「無理はしない」というキーワードが目に付きます。そういうご要望が多くある中、近々の課題は2つあると思っています。


Ⅰ.身の丈に合った借入額の決め方
Ⅱ.安心、安全な旧耐震物件を見抜く力

これらについて掘り下げてみます。

 

Ⅰ.身の丈に合った借入額の決め方

夢のマイホーム?

私は「夢のマイホーム」という言葉は使いません。この言葉からは「少し背伸びをして素敵なマイホームを手に入れれば、しあわせが手に入る」というイメージを連想させます。
確かにモデルルームに足を踏み入れると、不思議なくらいにテンションが上がり、ハッピーな気分にさせられます。

しかし、冷静に考えてみてください。2008年の時点で、日本の空家率は13.1%。実に756万戸、7.6軒に1軒が空家になっています。特別なエリアを除いて、マイホームの取得は夢でも何でもなく、当たり前のことになっておかしくないはずです。

 

成長から成熟へ

この言葉をよく耳にします。これからの日本は、お給料があまり伸びず、社会保障費アップや消費税増税などで「可処分所得(手取り収入)」がどんどん減っていくようです。
しかし、たとえそうなったとしてもマイホームの取得は夢ではありません。
買える人が減れば、物件価格は下がるからです。

また、社会が成熟すればするほど、少ないお金でしあわせな生活を送ることができるようになると思います。マイホームを取得することがゴールではなく、そのマイホームでしあわせな生活を送ることがゴールなのです。決して背伸びをしなくとも、しあわせな生活は送れるはずです。

 

身の丈に合った借入額とは?

“借りられる額”と“返せる額”の話などはこのコラムでも前々から書いています。また、購入前に、“売りたい人”(住宅営業)、“貸したい人”(銀行員)ではない第三者に資金計画について相談した方が良い事も前々から書いています。
しかし、現状そういう動きをしている人はほとんど居ないでしょう。
ならば「身の丈に合った借入額」というものについて、消費者に情報を拡散する必要があると思っています。

ひと昔前の「住宅金融公庫」の融資の基準は以下の通りでした。
・借入額は物件金額の80%まで(自己資金20%)
・返済比率は年収の20%まで

国が考える適正な借入額はこのくらいだよという意味なのでしょう。確かにこの基準でデフォルトする人はとても少ないと思います。
ところが住宅政策は景気対策に利用されているため、これらの基準は緩和され、現在の「住宅金融支援機構」の基準は以下の通りです。
・借入額は物件金額の100%まで
・返済比率は年収の35%まで(年収400万円以上の場合)
もうゆるゆるです。

しかし、現在物件を購入している人の多くは、上記「住宅金融公庫」の基準をオーバーしていると思います。
その人にとってどれだけのオーバーであれば許容範囲なのか?
このコンサルティングこそが、直近の課題です。


私の中ではある程度の答えを持っています。しかしそれは私の「肌感覚」による答えです。そのため、もっと体系的に誰もが利用できるソフトのような形で、社会に発信したいと思っています。できれば大学かどこかでこういう研究をして欲しいところですが、新築業界団体あたりが反対しそうですね。
社会の共通認識となるような普遍的な数字を出せたらいいなと思っています。

 

Ⅱ.安心、安全な旧耐震物件を見抜く力

旧耐震物件とは?

震災以降「新耐震基準」という言葉は、マイホームを探している人の共通言語になったと思います。1981年6月1日以降の確認申請物件をそう呼びます。
それでは、それ以前の物件「旧耐震物件」はすべて購入を見送った方がよいのでしょうか?
弊社に初回面談にお越しになるお客様にはこのデータを見てもらっています。

東京カンテイ リリース 「阪神・淡路大震災から5年 被災マンションの復興状況」
真ん中あたりの「世代別被災状況」
URL:http://www.kantei.ne.jp/news/report_1.php

このデータをどう読むか?
・旧耐震の80%は軽微な損傷または損傷なし。ましてや移行期になるとその率はもっと減るから旧耐震でもよい。
・旧耐震の13%は大破または中破して建替えを余儀なくされているから、やはり旧耐震は避けたい。

 

立地、金額的に魅力的

現在、全国に約100万戸の旧耐震マンションが存在すると言われています。その大半は首都圏に集中しており、それらの多くは好立地に建っています。
これだけ「新耐震」を絶対条件にする人が増えると、「旧耐震」の中に金額的にかなり魅力的な物件が出てきます。その時に、前述の「損傷なし」の方の旧耐震物件なのか、「大破」の方の旧耐震物件なのかを見抜く力が必要になります。

世の中の「旧耐震」物件のすべてが耐震診断を行ってくれれば良いのですが、現状行っている方が少数派です。そのため、「大破」しやすいマンションの傾向からみて、損傷しにくいマンションかどうかをアドバイスすることになります。もちろん100%確実な話になるはずが無く、あくまで私の「肌感覚」によるアドバイスです。この精度を上げることがもうひとつの課題です。こんな事を追求しているのは弊社くらいですね。

 

スタッフと共に

以上2つの課題を挙げてみましたが、皆さんはどうお感じになったでしょうか?
前述の通り、日本は「成長から成熟」の時代に入ったようですが、中古住宅市場に限っては、これからますますパイが大きくなる、成長を続ける、数少ない業界のひとつです。
その分ライバルが多くなり、競争が激しくなるのですが、工夫次第で果てしなく可能性が拡がるように感じています。

「中古注文住宅」という言葉を創り、事業をスタートして4期目になりましたが、今後も徹底した顧客主義を大前提に、ユニークな提案をしていきたいと思っています。
やりたい事はたくさんあります。新しい事もドンドン思いつきます。ただ、なかなか実行することができず、スピードの足りなさが欠点です。しかし、ここにきて優秀なスタッフが私の周りに集まってくれました。来年からはものスゴイ加速ができる気がしています。

未来が楽しみで仕方ありません。
頑張ります!

平成23年12月 山田 篤
 

中古住宅選びで成功する為に絶対必要な5つの知識