家は建てるもの

ほんの少し前まで「家は建てるもの」でした。
その時代は、工事中の10時、15時のお茶出し、上棟式などで職人さんと顔を合わせる機会が多くありました。そこで構築された人間関係は長く続き、家の不具合があった際など気軽に連絡をしてメンテナンスをしてもらうのが普通の事でした。これは大工さんによる「アフターサービス」と言っていいでしょう。
 
ところが、昭和初期6000万人程であった日本の人口は、高度成長期に1億人を超え、核家族化が進んだこともあり大幅に家が不足しました。そこで“量”が重視されることになり、早く・たくさんの家が造られることになりました。
 
そして登場したのがマンションや建売住宅です。それ以来「家は買うもの」という選択肢が生まれました。「家を買った人」のほとんどは自分の家を造った職人さんの顔を知りません。「家を建てる」時には根底に合った人間関係というものがありません。そのため、ちょっとした家の不具合があった際、売主にお願いしてもどんな職人さんが来るかわからないし、敷居が高い感じがして頼むことに躊躇をしてしまう人が多くなりました。
そういうこともあり「トイレのトラブル8000円!」みたいな会社が躍進したわけです。
 

「保証」と「アフターサービス」

 
ここで言葉の意味を整理します。一般的に「保証」は“法的に定められた責任”、「アフターサービス」は“売主が自主的に行う約束”と言っていいでしょう。
新築の場合「家を建てた人」も「家を買った人」もルールの上では同じように「保証」を受けています。しかし「アフターサービス」は売主によって違いはあるものの、上述のように「家を建てた人」の方が依頼しやすい環境にあると思います。
 
私は分譲マンションにも、注文住宅にも住んだ経験がありますが、分譲マンションの「アフターサービス」は非常に機械的で、営業担当者が顔を出してくれることはありませんでした。一方、注文住宅の方は、こまめに営業担当者が顔を出してくれて頼みやすい環境が整っていました。
 

中古住宅の「保証」

 
ここから本題に入りますが、その家を売るとなった場合、新築時の「保証」や「アフターサービス」はどうなるのでしょうか?答えは、次の所有者に引継ぎをされるケースは稀になります。一部の大手売主を除き、ルール上、引継ぎできない方が多いのです。購入者に担保されるのは、個人間売買の場合は一般的に3ヶ月間の瑕疵担保責任=構造上主要な部分の木部の腐食や雨漏れ等に対する補修等に過ぎません。
 
これは、一般的に売主が、新築=法人、中古=個人なので、個人に「長期の保証」を課すには無理があるので仕方ありません。そこで登場したのが「中古住宅瑕疵保険」です。建物調査の上問題がなければ、構造上主要な部分の木部の腐食や雨漏れなどに対して、最長5年1000万円まで「保証」をしてくれるという内容が主です。中古住宅の円滑な流通のため、また中古住宅の価値を維持するという意味でも素晴らしい制度です。しかし、残念ながら現状ほとんど利用されていません。これには以下の理由が考えられます。
 
・仲介会社が売主に利用を勧め、建物調査の際に欠陥が見つかった場合、補修等売主に費用負担が発生し時間もかかる。今の仲介会社の基本的なスタンスは「いかに早く売却を成立させるか」なので面倒なことは極力避けたいというのが本音だから。
・買主が利用したい場合、引渡しまでに手続きを済ませる必要があり、売主が居住中の場合には協力を得ることが難しく、時間的に厳しいから。
 
現場で仕事をしていて、この制度の利用が広がるのはなかなか難しいものがあると感じています。業界全体に与えられる影響はごく僅かに過ぎませんが、個人的には率先垂範していきたいと思っています。「保証」についてはこれが現状です。
 

中古住宅の「アフターサービス」

 
次に「アフターサービス」についてです。これは個人間売買の場合、売主・買主間では難しいので、仲介会社が積極的に行うようになれば良いと思っています。現状、大手仲介会社の一部でメンテナンス対応などを行っているケースはあるようですが、ここにスポットライトをあてている会社はほとんどありません。
 
もちろん売主ではないので、できることに限りがあります。「アフターサービス」というよりは「アフターフォロー」という言葉が近いのかもしれません。つまり、購入者に安心して中古住宅にお住まいいただけるように、常に相談窓口となることが非常に重要で、「家は建てるもの」の時代のような人間関係が求められていると感じています。
なお、弊社では以下のような「アフターフォロー」を御提供しています。
 
・引越後1ヶ月点検
・気軽に電話サービス
・建物メンテナンス相談
・住宅ローン借り換え相談
Etc
 
「気軽に電話サービス?何だそんなことかよ。。。」と思われる方も居ると思います。しかし、そんなことすらも気軽にできないのが現在のほとんどの仲介会社の体制です。
 
つい先日も、キッチンで水漏れがあったと連絡をいただきました。すぐに駆けつけ原因が水栓にあることがわかり、その後の動き方のアドバイスをしました。おそらく保険も下りるでしょう。
「いつでも相談できるパートナー」
これが中古住宅の「アフターフォロー」として最も大事なことと考えます。
 

業界のスタンダードを

 
マイホームの主役は、ようやく「新築」から「中古」に変わろうとしています。そのため、中古住宅取引の仕組みはかなり時代遅れと言ってもいいでしょう。なかなか変わることができない大手と比べ、我々中小企業はすぐに行動に移せます。業界のスタンダードは我々が作っていきます。ご期待ください。
 
理想的な中古住宅の買い方は「中古住宅を買いたい」をご覧ください。
 
平成23年10月 山田 篤