磨き売り第4弾

弊社が提案する磨き売り。第三弾に続き、第四弾も団地で挑戦しました。第三弾は1階のお部屋でしたが、今回はエレベーターなし5階のお部屋です。

○なぜ団地なのか?

高齢化・空き家が社会問題化している中、もちろん団地も例外ではない状態にあります。
団地内の高齢化が進む→管理組合の機能が鈍る→維持・管理が十分行きわたらない→どんどん人が離れる・資産価値が落ちる→廃墟化
中古住宅専門の不動産会社として、大切なストックを負のスパイラルに突入させてはいけない!何とかしなければ!!そんな思いが団地をチョイスした大きな理由です。
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○団地に残された選択肢

大手不動産会社や有名企業が参加して、まるごとリノベーションしている実例も増えていますが、建て替えと同様に、所有者の意見をまとめるのは難儀でどの団地でも出来る事ではないのが実態です。まるごとリノベーションが出来ないとなると残されているのは
①建て替えを待つ
②廃墟になるのを待つ
ちょっと待ってください。選択肢はそれだけじゃないはず!
草の根的で地道かもしれませんが「住み替えを促進する(若い世代に入居してもらう)」これこそがどの団地でも実現可能な現実的な方法と弊社では考えます。

とは言っても「団地ってエレベーターないでしょ?今は良いけど老後に階段の生活は厳しいから、団地はパス!」という若い人も多いかもしれません。こういう方々にいかに目を向けてもらえるか?これって我々不動産会社の仕事、というか使命なんだと思います。

○団地の5階はどんな人に向いているか?

ライフステージに合わせて住み替えをする
この考えを基にどのステージが団地の5階に向いているのか?弊社代表山田と考えました。こどもを抱っこしたりベビーカーも必要のない世代、そしてまだまだ足腰もしっかりしている働き盛り。つまり「ステージ4:子育て後期」。このステージを今回のプロジェクトの住人イメージとしました。

○タイトル

タイトルは「受験 ~家族と心も育む家~」
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子育て後期世代の大きなライフイベントは受験ですね。「勉強ができる子になって欲しい」これは親であれば誰しもが望むことだと思います。では「超集中できる究極の勉強部屋」があればいいのか?私達はそれは違うと考えました。例え勉強ができても、それを人と共有するコミュニケーション力がなければいけない。例え勉強ができても、それを愉しむことができなければいけない。例え勉強ができても、そもそも人として生きていく基本的な力がなければいけない。子どもの学びの場は家族であり住まいである、こう考えました。そして、家族が自然に集まり会話し協力するような空間、それを「いろり」と名付けました。
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ここを家族の中心とし、食事・勉強・読書・洗濯物を畳む・アイロン、すべての日常生活の中心とします。

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○いろりにみんなが集まる6つの工夫

①一番気持ちの良い位置にいろりを

【団地の魅力3つ】
1、敷地のゆとり:建て替えにならない限り変わらない敷地のゆとり
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2、南北の抜け:いわゆる「羊羹型」の団地は南北に風が通るのが魅力。北側は個室ではなくフリースペースとし、風の流れを遮らないようにしています。
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北へ・・・

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南へ・・・

間に設けた引き分け戸
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閉めるとこんな感じです。
目隠しをしつつ風は通す優れものです。
この扉は「簾戸」という物で、実際に大正~昭和初期に使われていたアンティークの一点ものです。冬場は襖で寒さを遮り、春~夏にかけてはこの簾戸に交換して風通しを良くしていたそうです。四季のある日本人の知恵です!!目隠しをしつつ風は通す優れものです。

3、共用廊下・階段に個室が面さない
視線も足音も気にならないこの二つのスペースはくつろぐのにぴったりの場所です。

この3つがそろった一番気持ちの良い位置にいろりを配置しました!!さらに、いろりの足元にはコンセントを配置してあります。冬場は暖房をしこんで足元から暖まる事も出来ます!

②集まる工夫

「いろりのそばにそれぞれのライブラリーを」
いろり~子ども部屋までの通路に・・・
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本だけでなく自分の好きな物・興味がある物を思い思いに置けるスペースです。ここで本を手に取ったら・・・ いろりで読みますよね?!
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そして、お父さんお母さんにとっては「子どもが今どんな本を読んでいるのか?興味があるのか?どんな勉強をしているのか?」知る事ができるスペースにもなり、子どもからすると、自分の世界にはない物にふれる言わば未知との遭遇スペースになるのです。お互いがお互いに自然と関心を持つことが出来る=コミュニケーションを取りやすくなる。いろりでのコミュニケーションを補完するのがこのライブラリーの役割なのです。

③子ども部屋は必要最小限の広さに

クローゼット部分を除けば約4帖。
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広くはないですがベッドと勉強机を置くには十分な広さ。
△LDK それぞれの個室って欧米から入ってきた文化ではありますが、日本のように子どもが部屋にこもって過ごすのは日本独特の文化だそうです。快適になりすぎないように必要最低限の広さとし、いろりで家族とくつろぐのが当たり前になるような設計です。また、いろり・ライブラリーを通らないと子ども部屋に入れないので、顔を合わせる事も多くなるはずです。

④キッチンカウンター

生活時間がずれがちな子育て後期。夕飯までの時間の勉強スペースに。一人の食事はキッチンのそばで素早く。
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みんなより遅くお父さんが帰ってきたら、お父さんはいろりで食事、その横でお母さんは洗濯物を畳み、子どもは勉強をする。そんな生活の流れを想定しています。対面キッチン15帖のLDKでは、なかなかこのサイズのカウンターは設けられません。キッチンをあえて独立にしたからこそ得られた空間です。

⑤家事動線を短く

家事動線がよくなる→時間短縮→その分いろりでくつろぐ時間を多く取れる。いかに家事を効率良くするか?を考え、キッチンから洗面所に直接行けるようにレイアウトしました。
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日中開け放っておけば洗面の窓からの明かりも取り入れられます。

⑥床タイル&ライティング

自然といろりに足が向かう そんな風にしたくて照明と床材でいろりへの「道」を作ってみました。
「ただいま!」と玄関を開けて
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玄関ホールの照明を付けます。
あえて明るくなり過ぎないように、スポットライトとブラケットライトのみにしました。
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キッチンカウンターを横目に・・・
その先には
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いろりが!!!
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どうですか??帰ってきたらまずいろりに行きたくなりませんか??

○仕上げ材にもこだわり

キッチンカウンターに採用したヒノキ【間伐材】の集成材
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いろり正面の壁にはイグサボード
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考えればちゃんと使い道があるのに捨てられてしまう「間伐材」
畳表になれなかった「短いいぐさ」
現行の耐震基準を満たしていてまだまだ使えるのに、築年数が経っているだけで見捨てられてしまう「団地」

なんか同じにおいがするな~、という事で採用してみました。ちょっとした工夫でよみがえるのは木材も建物も同じことなのです。

○五方よしの新しい「買取再販」の理想形

実は今回のプロジェクト、厳密にいえば【磨き売り】ではなく【買取再販】です。

・売主に良し

何が新しいのか?それはレインズに登録されている物件を【市場価格のまま】で仕入れて再販売を行っている点です。不動産業者に買い取ってもらう場合、一般的に買い取り金額は市場価格の70~80%にまで安くなってしまいます。売り主様はなるべく高く売れるように、買取ではなく一般の方に向けて販売活動をされていました。ですがなかなか買い手が見つからず、買い取ってもらう事も考えていたそうです。

・業者に良し

売り主側の仲介業者には弊社から仲介手数料を支払う。弊社は市場価格で仕入れているので、多分にではなく「適正な」利益を頂く。お互いにきちんと仕事として成り立ちます。

・買主に良し

購入していただいたお客様、実はバリバリの子育て前期、ベビーカーが必要なご家族でした!!「同じ団地の1階~2階を重点的に探していたけれども、このお部屋だったら階段も頑張れる!ベビーカーもへっちゃら、と思いました。」と弊社の思惑をはるかに超える、うれしいお言葉を頂きました。弊社の「コト」を重視したリノベーションがきっかけで、自分たちにとっての「しあわせな家」がどういう物なのか?気付いていただけたのだと思います。

・団地に良し

近所の公園から聞こえる子どもの声がまたひとつ増えました。この流れが繰り返されれば「負のスパイラル」から抜け出す事が出来るでしょう。

・中古住宅流通に良し

昭和47年築と築年数は経っていますが、耐震基準適合証明書が取得できるこの団地。どの会社も販売図面にはその事実を記載していませんでしたが、弊社は販売前に適合証明書を取得し、積極的にアピールをしていきました。きちんと「情報開示」をし、「コト」のあるリノベーションを施せば、築が古い・エレベーターが無いというデメリットも払しょく出来るという事を証明できたと思っています。
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関わる皆がしあわせな【磨き売り】
第5弾もお楽しみに!

物件担当:望月